堕ちる音
その夜、杏(仮)は無骨で無口な達也の腕の中にいた。
出張先のホテルで、たまたま隣の部屋だった達也さんと意気投合してしまいました。
きっかけは達也さんからの一通のメッセージでした。アルコールのせいにして、わたしは少しだけ大胆になっていました。
会話が途切れた沈黙が、なぜだか妙に甘く感じられました。
終電を口実に、わたしは海の見えるリゾートホテルへと向かっていました。薄暗い部屋で、お互いの息づかいだけがやけに大きく響きました。
「いいの?」と囁かれ、わたしは小さく頷くのが精一杯でした。
唇が重なると、それまで積もっていた緊張が一気にほどけていきました。
「もっと聞かせて」
「明かり、消して」と頼んでも、彼は「全部見たい」と譲ってくれませんでした。
彼の指がブラウスのボタンを一つ、また一つと外していくたび、わたしの呼吸は浅くなりました。
一枚ずつ脱がされていくうちに、隠すものが何もなくなって、心まで裸にされた気がしました。
達也さんの舌が脚の間に潜り込み、じゅるっと音を立てて吸い上げられて、頭が真っ白になりました。
指の動きが速くなるたび、杏(仮)の腰は勝手に浮き上がってしまいました。
うなじから背筋へと舌を這わされ、ぞくぞくとした震えが全身を駆け抜けました。
焦らすように入り口だけをなぞられ、杏(仮)は自分から腰を押しつけて「早く」とねだってしまいました。
薄い布をずらされ、直接指を沈められると、ぬちゅっと恥ずかしい音が響いて杏(仮)は顔を覆いました。
(きゅうっ、ぱんっ)
「お願い…止まらないで…」
「すごく濡れてる」
達也さんの手が両胸を鷲づかみにして、硬くなった先端を指先で押し潰すように転がしてきました。
達也さんの唇が下腹部へと下りていき、次に来る刺激を思って杏(仮)は息を詰めました。
耳を舐められながら胸を揉みしだかれ、二つの快感に杏(仮)は理性を失いかけました。
指を二本挿し入れられ、中を掻き回されるたびに、ぐちゅぐちゅと濡れた音が大きくなっていきました。
たっぷりと濡れたそこを指で広げられ、視線を感じるだけで達してしまいそうでした。
太ももを大きく開かされ、恥ずかしい場所を余すことなく見られて、杏(仮)は消えたくなりました。
「見ないで…恥ずかしい…」
腰を掴まれて後ろから深く貫かれ、杏(仮)はシーツに顔を押しつけて喘ぐことしかできませんでした。
一番奥をぐりぐりと押し上げられると、杏(仮)は爪先までびくんと硬直して達してしまいました。
汗と体液で濡れた肌がぶつかり合い、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響きました。
ずんずんと奥を突き上げられるたび、繋がった場所からぐちゅんぐちゅんと激しい音が鳴りました。
(ぬちゅ)
「お願い…止まらないで…」
「もっと乱れていいよ」
何度目かの絶頂で杏(仮)の中が強く締まり、達也さんも低く呻いて動きを速めました。
「もっと激しくして」と口走った杏(仮)に応えるように、律動が一段と速くなりました。
片脚を抱え上げられ、さらに深い角度で突かれて、杏(仮)は目の前がちかちかしました。
達也さんのものがゆっくりと押し入ってくると、みちみちと押し広げられる感覚に杏(仮)は息を詰めました。
(くちゅ)
「んっ…あぁ…」
達した直後の敏感な体を、それでも彼は離してくれませんでした。「もう…焦らさないで…」
夜が明けても、二人を包んだ熱はまだ冷めやらなかった。また同じような夜が来るのかは分かりません。でも、それでいいと思っています。