颯太くんさんに抱かれた夜
わたしは看板娘をしている紗英といいます。今でも忘れられない話をひとつ。
今でもふと思い出してしまう、月の綺麗な晩の話をさせてください。
バイト先の閉店後、二人だけになった店内で。
颯太くんさんと飲みに行ったのが、そもそもの始まりでした。膝が触れ合ったまま、どちらも離そうとしませんでした。
手を引かれるまま、わたしは薄暗い居酒屋の個室のドアをくぐっていました。薄暗い部屋で、お互いの息づかいだけがやけに大きく響きました。
見つめ合ったまま、どちらも動けずにいた時間が愛おしかった。
深く舌を絡めるキスに、膝から力が抜けていきました。
抱き寄せられて、彼の胸の鼓動がまっすぐ伝わってきました。
一枚ずつ脱がされていくうちに、隠すものが何もなくなって、心まで裸にされた気がしました。
「明かり、消して」と頼んでも、彼は「全部見たい」と譲ってくれませんでした。
下着の縁に指をかけられ、わたしは恥ずかしさに思わず腰を浮かせてしまいました。
うなじから背筋へと舌を這わされ、ぞくぞくとした震えが全身を駆け抜けました。
颯太くんさんの手が両胸を鷲づかみにして、硬くなった先端を指先で押し潰すように転がしてきました。
乳首を軽く歯で挟まれ、甘い痛みに紗英は高い声を上げてのけぞりました。
舌先で乳首を執拗に舐め上げられ、もう片方も指でつままれて、紗英は背中を弓なりに反らせました。
「はぁ…もっと…」
「もっと聞かせて」
指の動きが速くなるたび、紗英の腰は勝手に浮き上がってしまいました。
内ももを割り開かれ、下着の上からなぞられただけで、そこはもうぐっしょりと濡れていました。
指を二本挿し入れられ、中を掻き回されるたびに、ぐちゅぐちゅと濡れた音が大きくなっていきました。
颯太くんさんの唇が下腹部へと下りていき、次に来る刺激を思って紗英は息を詰めました。
(じん…)
「あっ…イッちゃう…」
「もっと激しくして」と口走った紗英に応えるように、律動が一段と速くなりました。
汗と体液で濡れた肌がぶつかり合い、ベッドがきしむ音まで恥ずかしく響きました。
何度目かの絶頂で紗英の中が強く締まり、颯太くんさんも低く呻いて動きを速めました。
「颯太くんさん…気持ちいい…」
「かわいいよ、紗英」
余韻も与えられないまま次の波を送り込まれ、紗英は喘ぎ続けるしかありませんでした。
ゆっくり引き抜かれてはまた奥まで沈められ、その緩急に紗英は翻弄され続けました。
颯太くんさんのものがゆっくりと押し入ってくると、みちみちと押し広げられる感覚に紗英は息を詰めました。
限界を訴える颯太くんさんに、紗英は「中は…」と言いかけて、快感に言葉を飲み込みました。
「颯太くんさん…気持ちいい…」
頭が真っ白になるほどの絶頂に、わたしはしばらく声も出せませんでした。「奥まで…来て…」
それきり颯太くんさんとは会っていませんが、あの夜だけは今も鮮明です。はしたない話ですみません。でも、書けてよかったです。